ひっそりとした幸福はお姫様の香り 

大型商業施設が増えたことで、施設内の専門店も本当に多くなりました。店内を見て歩くだけでも楽しいです。

女の子受け間違いなし!といった感じのファンシーショップもショッピングモール内には何店舗か入っていて、それらの店の多くは華やかな色に溢れ、商品もディスプレイも可愛くて、特に買うものものがなくてもつい自分の歳を忘れ、ココロウキウキ♪とお店に入ってしまうこともあります。そして、お店全体がふんわりとした優しい香りを醸しているようで、それが居心地の良さにも繋がっているんでしょうか、意外と長居をしてしまうこともあります。ふんわりとした優しい香りの正体とは、陳列されている商品に添加された香料やお店を訪れる女性客の香りなど混じりあった香りなのだと思いますが…。

目によし、鼻に?よし、こんな素敵なファンシーショップが私の小学生の頃に近所にあったなら(ちなみに私は昭和世代…)、毎日通っていたかも知れません。ですが、お小遣いも限られていましたし、そんなにファンシーグッズや文房具等も短期間で使い切るわけでもありませんから、いよいよ買い物の必要がなくなったら目と鼻とココロを癒すだけの目的でファンシーショップを訪れていたかも知れませんね。

そうなんです、こんなにもお店全体が可愛いものや素敵なものばかりで良い香りも漂っているとなれば、もうそこはパラダイス☆的なパワーで満たされ、特に小学女児には夢の様な場所。こういうお店がもしも私が小学生の頃に近所にあったなら、やみつきになっていただろうものの、一方では実際に私が文房具店で体感した、ひっそりとした幸福感とは全くベツモノだなぁとふと昔のことを思い出した次第です。

いやいや、ひっそりとした幸福感ってナニ?ひっそりじゃなく幸福はガッツリの方がいいんじゃない?と言われるかも知れませんが……かつて私が小学生だった頃は地域的な理由も多少アリ、時代としてもショッピングモールもとい大型商業施設がなく、代々続いているような個人経営のお店や商店街が頑張っていて、また大変それらのお店は賑わってもいました。でも残念ながらそういう店の中にはファンシーグッズの専門店(ファンシーショップ)は1軒もなく女の子が喜びそうな可愛らしい文具はどこで買えるのかというと、こじんまりとした文房具店の中のひとところ、窮屈そうに置かれている中から選ぶほどの種類もないけれどそこから選んで買うといった感じでした。※車に乗って隣の市(ちょっとした都会)へ買い物に出かけるお宅はまた話は別だったでしょうけどね。

昔からの家屋を少し改造してお店にしたような近所の文房具店では(文房具店に限らず、地域一帯の殆どのお店が住居兼店舗で、なおかつ歴史を感じさせる家屋の造りをしていました)、古い建物の持つ独特のにおいに加え鉛筆や墨汁など文房具からにじみ出る香りと混ざり、店の戸を開けた瞬間からお店の香りとして存在していましたが、そんな中でも前述の、女の子が喜びそうな可愛らしい文具の周囲だけは甘い香りが漂っていたのでそのあたりに近づけば無意識に深呼吸していたのを覚えています。そして自分が文具を買う時にも実用的かどうかは二の次で、可愛い色や好みのデザインの物など自分の気分をアップさせてくれるような物を選んでいました。小学生の女の子の多くは学校で使う文具を、やれキャラクターものはダメとか無地以外ダメとか何らかの規定がない限りは、機能性または実用性重視より自分の好き度数を最優先として買うものを選んでいたんじゃないかなと思います。

特に消しゴムに至っては鉛筆やノートなどといった他の文具よりバリエーションが豊かで、形も色も様々で香りも何種類もあって、どれを買おうかと選ぶだけでも楽しかったですね。砂糖を熱したような綿菓子みたいな甘い香りや、果物や炭酸ジュースっぽい爽やかな香り、花のような柔らかな香りなど、消しゴムを手に取ってはクンクンと嗅ぎまくっていました→文具店にとっては、そこまで鼻に消しゴムを近づけて何度も匂いを嗅がれるのは、たとえ消しゴムがビニールで包まれていたにせよあんまりイイ気はしなかったと思いますが…☆とにかく、今おもうに毎日使う文房具は少しでも自分の好きな物を選んで日頃のモチベーションアップに繋げていたような気がしますし、それらの文房具の中でも香り付きの商品が多かった消しゴムには時間をかけて選んでいましたね。懐かしい思い出です♥

ちなみに皆さんが子供の頃のお気に入りの文房具ってどんな物だったか覚えていらっしゃいますか?

なお、香り付きの文房具は小学生だった当時の私にはとても大切なもので、特に自分の好きな香りがする物はちょっとしたストレス発散というか癒しにもなっていました。毎日使っていれば当然香りも薄れてきちゃうんですけどね……。

なぜこうも香り付きの文房具が当時の私には魅力的で大切だったのか…と考えてみると、やはり小学生では香水やお化粧品などといった大人アイテムには当然ながら手が届かず、でも良い香りのするものを使いたい、身近に置いておきたいという願望はまさに女の子っぽさそのものだったんじゃないかなという推測を第一に、他に考えられることといえば、あの頃の昭和の時代には今ほど良い香りのする人工的なモノが身近になかったから。例えば衣類に直に吹き付けるファブリー〇的な物も、うっとりするような香りの柔軟剤も、部屋用の芳香剤も、少なくとも私の家にはなかったですね。まぁ、柔軟剤はあったかも知れませんが、洗濯された衣類を着て、その香りにうっとりすることは全くなかったです。(衣類に香りがあったかどうかさえ怪しい)

だから、時々、文房具店で何か買い物をする時、香り付きの文具から漂う香りに強烈に惹かれたし、また自分が買うもので香り付きの商品があったなら、香りの好みで選んでいたのだと思います。今振り返ってみると実に他愛ないことですが、懐かしくも大切な思い出ですね。

余談になりますが、香りについては、ふと最近になって気づいたことがあります。仕事柄もあり平日には香水をつけることは皆無ですが、実は私、香水やお香が好きで休日にはそれらを楽しんだりしています。やはり自分好みの基本となる香りがあるようで、幾つもフレグランスを持っていても一つ一つが個性的な香りではなく、何となく全てのフレグランスの共通項もとい共通香?が、小学生の頃に胸をトキめかせたあの甘い香りだと今頃になって自覚したのです。まったくもって、ナゼ今ごろ?って話ですけどね★

ちなみに私の好きな香りは、やや甘めで、内訳は甘い焼き菓子寄りとかフルーツ系、お花風などまるで少女漫画やアニメに登場するヒロインやお姫様には欠かすことのできないアイテムから醸されるような香り。そういう香りに惹かれていたのは、小学生だった頃にとどまらず大人になった今でもか?とちょっと自分でも驚きました。

ともかくも、小学生の頃には早すぎだった香水も今では誰に咎められることもなく、お気に入りの香水の香りや瓶のデザインや綺麗さに癒されていますが、自分の好きな香りが周囲の人にも許容されるわけではありませんから、TPOをわきまえて香害にならないようこれからもフレグランスを楽しみたいと思っています。

なお、私の部屋は加湿器から出るミストの香り、衣類の柔軟剤の香り、消臭剤、お香や香水ナド様々な香りがブレンドされていて、それはまるで文房具店の香り付き文具がそれぞれの甘い香りを放っていたあの時の、ひっそりとした幸福の空間に似ているような気もするのです。さすがに昔の様に香りを吸い込むべく深呼吸はしませんが(していないと思いますが)。でも、たまにはやっているかもしれませんね。無意識に…。     

 

       

        

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