この冬のうちでも厳しい方なんじゃないかと思える寒い日が続いています。こんな時には食事には温かな汁物が嬉しいですね。日本には味噌汁という発酵食品、味噌を使った栄養価の高い汁物があります。味噌の種類は地域によって様々、また汁の具材も季節の旬のものを色々取り入れることによって飽きることなく毎日おいしい味噌汁を頂くことができますし、土地の特産を使った味噌汁はおふくろの味、またはふるさとの味だったりもします。
みなさんは、お味噌汁がお好きですか?また、どんなお味噌汁がお好きですか?
私は自分が作る味噌汁には好きも嫌いも特に思うことはないのですが(そもそも嫌いなものは自分で作りませんしね…)、祖母の手造りみそによる味噌汁や、母ちゃんの粕汁(かすじる)が好きでした。もう二人ともに他界しているので今は口にすることも叶わず、懐かしく思い出すだけですけどね。特に母ちゃんの作る粕汁は沢山の具が大鍋にいっぱい入っていて、汁物と言えどそれは立派な「おかず」のポジションでした。だから、粕汁が食卓にあがる時はお漬物とかはあったかも知れませんが、魚や肉などのメインディッシュは当然のごとく不在でした。
ちなみに、粕汁とご飯だけの食事と言っても私はとりたてて不満はありませんでした。粕汁は、塩鮭・ごぼう天・大根・人参・ネギ・こんにゃく・油揚げ・ごぼうなど具沢山で何だか嬉しかったですし幼いころから不思議なことに私は酒粕のニオイや麹の粒々に抵抗もなかったのです。寒い時期、カラフルな具がお椀にたっぷりでココロも体も温まる粕汁は私にとって冬のご馳走でした。
母ちゃんほど上手に粕汁を作ることはできないけれど、冬になると時々は粕汁を作ったりしていました。
…でも私の作る粕汁は不評の極みでした。
塩鮭も入っているしメインのおかずは粕汁としたところ、粕汁は汁物であっておかずにはならないと家族に言われてしまったのです。要は、粕汁とは別におかずをもう一品作れ、ということですね。そして、次の機会には言われた通り、おかずと粕汁とご飯の献立だったのですが、粕汁の酒粕のニオイがどうも家族には気に入らないようで…結局、その後は粕汁を作らなくなってしまいました。粕汁とは別におかずをもう一品作れ、の要請はいったい何だったのでしょうね☆
なお、カレーは汁物なのにカレーなら家族は文句もなくご飯にバッサバッサかけて食べていて、粕汁は汁物だからメインのおかずになり得ないとか言われてしまうと粕汁びいきの私はちょっとㇺッとしてしまいます。
おかずの定義って何なんでしょうね。…結局は個人の価値観しだいなのだとも思いますが。
話はちょっと逸れますが、学生時代、お昼ご飯は給食ではなくお弁当だった時に一緒にご飯を食べていた女の子が、お弁当にお肉を入れてきていました。家で作られたカレーのお肉だけを引き上げて、お弁当のおかずにしたとのことでした。何十年も昔の話なのに私は今でも覚えています→カレーのお肉を単体でお弁当のおかずにするんだ★と、すごくビックリしたので…。人が何を食べようが何が好きだろうが全くもって個人の自由なんですけどね、でも私はカレーの汁も多少なりかかっているお肉を、冷えたままで食べるとは、カレーのところも肉そのものも脂分が固まったままで全然美味しくないんじゃないか、と思わずその味を想像してしまったのでした。
カレーは確かに多くの人が好きですし、今も昔も家庭でよく作られますよね。私も子供の頃、時々は母ちゃんがカレーを作ってくれました。お肉、人参、玉ねぎ、ジャガイモがゴロゴロ入った具がメインのカレーです。味もカレールーの箱に書かれたレシピ忠実のまさに日本の「おうちカレー」。そして、私はカレーの日にはこっそりと自分の好きなジャガイモやお肉を多めによそって食べていましたが、ある時、こんなバチが当たります。おたまでよそったお肉に、割と大きいのが入っていて「ラッキー♪」と思いつつほおばったんですが……、
その瞬間、「!!!」
肉を噛んだはずの歯は口の中でジャリッと音を立て、明らかに肉ではない物を食べていることを察知しました。カレーは確かに熱かったのに、噛んだそれは味らしい味もなく、そして冷たく、何じゃこれはと見てみると正体は溶けきっていないカレールー。
カレールーを完全に溶かした、いわばちゃんと完成したカレーの中のお肉を取り出してお弁当のおかずにしていた彼女の方がよっぽどまともなモノを食べていました。溶けていないルーなんか食べるもんじゃないですね(当たり前)。ましてや、はなっからお肉だと信じ込んで口にしたものだから口の中の感覚と脳の判断力が一瞬パニックを起こした様な錯覚を覚えました(笑)まさに自分の好物だからと他の家族の取り分を考えずにガメた卑しさの報いを受けた結果でしょうか。
ともかく、カレーの中のお肉の様に粕汁の中の塩鮭も立派なたんぱく質で、、いやそれ以前にそもそも粕汁に使われる酒粕には沢山の栄養素が含まれています。飲む点滴といわれた甘酒も酒粕から作られますしね、ざっとあげてみると酒粕には、たんぱく質、食物繊維、ペプチド、アミノ酸、ビタミンの他に製造過程で微生物が産み出した100種類以上の酵素も含まれているそうです。
栄養価も高くヘルシーな粕汁がもっと市民権を得てくれたらいいのになぁ…と、こんな寒い冬の日には特に思ってしまいます。
色々な具がたっぷりのあつあつ粕汁、皆さんもたまにはいかがでしょうか。
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