イタリア大使

プランター観察日記

気が付けばもう12月。今年もあとわずかとなりました。
 
雨にみぞれが混じることも珍しくないほど気温が下がっています。
そんな寒さの中、

ベランダのプランターには枯れることなく冬を迎えてしまったバジルが1本、季節はずれの戸惑いを抱きつつも枯れまいと懸命に頑張っています。            

つい数週間前までは隣のプランターでは朝顔や桔梗などの花も咲いていて賑やかだったのに、
大半の植物は花を咲かせ種を宿すと使命を果たしたとばかりに次々と枯れていきました。
  

ちなみに例年ならばバジルは夏に小さな白い花をたくさん咲かせて、種を落とし、秋も深まる頃に枯れてしまいます。
あるいはベニフキノメイガという蛾の幼虫の食害にあって枯れてしまう場合もあります。

バジルの花

ですが、今回、1本だけ寒さに耐えながらふんばっているバジル氏は、

遅ればせに芽を出した御仁だったからか、
本来花をつけるべき時期には、まだバジル自身の成長過程でその体つきもヒョロヒョロでした。
そのあまりの華奢さにさすがにベニフキノメイガも産卵をためらったのか、
おかげで当のバジル氏は害虫の餌食となる災難から免れました。
よかった、よかった♪…の思いもつかの間、バジル氏が花を咲かせようと成長するあいだ、季節はどんどん過ぎていき、秋も深まったかと思いきや、

すっかり冬になってしまいました。

寒さもこれからは厳しくなるばかり。

枯れてしまう前に、そろそろベランダのプランターから室内に移って頂いた方が良いかも知れません。

 話は少し変わりますが…。
 
白いご飯の真ん中に梅干しを入れた弁当は日本の国旗に似ていることから「日の丸弁当」と呼ばれます。


国旗に使用されている紅白はおめでたい色、縁起が良いとされているだけでなく、その2色にも大切な意味があります。
「紅色」は、博愛と活力。「白色」は神聖と純潔を指しています。

ご存じの方は大勢いらっしゃるかと思いますが、、私は知らないままン十年生きてきました。

なるほど、お弁当を開けて白いご飯に真っ赤な梅干しがあると、なんだか食べる前から元気を得たような気持になるのは、「紅色」の活力のおかげだったんですね!

  

 
 


 イタリアの国旗の色もまたそれぞれに意味があります。
 「赤色」は、愛国者の血・熱血。「白色」は、雪・正義・平和。「緑色」は国土を指すそうです。
 

 そして、イタリア料理で有名なピッツァマルゲリータにも用いられる食材の3種は、

 赤…トマト、白…チーズ、緑…バジルというように、

 イタリア国旗を象徴しているのだそうです。
 
 バジルは国旗の緑色の象徴と知ったからか、
 広大なイタリアの土地に植物が豊かに育つ様子は、私にはまるで開花の後に落ちたバジルの種子が、
 翌年の春に一斉に芽吹く姿とも重なりました。
 


バジルは夏に白い花をたくさん咲かせると多くの種を落とし、秋、冬を経て
春には地中で眠っていた種たちが次々と目覚め、グーンと手を上げ伸びをするように双葉を広げていきます。
芽吹いたバジルの子供たちでいっぱいになったプランターは土の色が見えないくらいに緑で一色に……。
この光景は暖かくなれば毎年当たり前に見られますが、言い換えればバジルの発芽が
春を知らせてくれているのだと思います。

そんな風に毎年繰り返されるバジルの成長はごく当たり前のことと思っていましたが、
叶わない場合もあるのだと、そして、当事者?であるバジル氏は、叶わないながらも開花を諦めてはいないことを、
最近、改めて知った次第です。

このように、どんな状況であれ子孫を残し大地を緑で満たすことを、
自身の命が尽きる最期の最期まで諦めずに懸命に果たそうとするのは、
植物のDNAとしてインプットされているのでしょうね。
 
そして、それは、水ですすがれても、高温で焼かれても失われない爽やかなバジルの芳香と同じく、
きっと廃れることはないのでしょう。

 たかがハーブといえど、イタリア国旗が象徴する緑にふさわしく、日本の寒空の下でありながらも、
 開花という使命を胸に凛とした佇まいでいるバジル氏に、 イタリア大使としての姿を垣間見た思いです。

 

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