むらさきの花

プランター観察日記
プランターのローズマリー

プランターの水やりをするためにベランダの窓を開けるのが今日はいつもより少し遅い時間になりました。「気温が一段と下がり寒くなるでしょう。」と、気象予報士の言葉通り予報の当日(つまり今朝)はストーブをつけるぐらい冷え込んだので、窓を開けるのがちょっと億劫だったのです。昨日、一昨日ほど前まではまだ朝顔も咲いていたことを思えば本当に急激な気温の変化です。

急に冷えた今朝、うちに植えてから一度も花をつけることのなかったローズマリーが初めて紫色の花を咲かせているのに気が付きました。ローズマリーの株はすべて花をつけるかどうか、また、花が咲くにしても何色があるのかも知らないままローズマリーを買ってきてベランダのプランターに植えていたので実際に花をつけたこと、よりによって急に寒くなった朝に咲いたこと、花色が紫であったことにビックリしてしまいました。

(あぁ、母ちゃんは紫色の花が好きだったなぁ…。)

偶然とはいえローズマリーも紫色の花を咲かせてくれたんだ。こんなに寒い日なのに咲いてくれてありがとう。私はふとそう思いました。

ちなみに私、フミの母ちゃんは三年前に旅立っています。母ちゃんは生前、リンドウやアザミの花が好きでした。

なので、母ちゃんが亡くなったあと暫くして、母ちゃんが好きな花をプランターいっぱいに育てて供えようとしたのですが、リンドウもアザミも発芽に至らず断念することに。そして、紫色の花でほかに何かないかなぁと思っていた時にちょうど種の売り場に桔梗があるのを見つけ、それを購入し育てることにしました。母ちゃんは桔梗の花が好きだと言っていた記憶はないのだけれど、リンドウもアザミも紫色の花だし桔梗もきっと好きなんじゃないかなぁ、、、いや、花はたいがい好きだったろうから、供える花が桔梗であっても喜んでくれるはず、、、。こんな動機から、もといリンドウやアザミの挫折から、桔梗を育てることとなりました。

幸いにも桔梗はちゃんと芽が出てくれました。葉も、茎も、順調に育っているように見えました。蒔いた種は、花色が紫、白、ピンクの3種類だったのでどの花色が一番に咲いてくれるのかとても楽しみでした。しかしながら1ミリほどの茎はいつ迄たってもヒョロヒョロのままでもツボミもつきそうにもありません。季節も冬に近づいていました。

「おーい、君たちが植えられたこの場所が良くないとしても、君たちには種の中の養分がタップリあるんだし、その養分でもっと成長できるんじゃないの?冬が来る前にもうひと踏ん張り頑張ってみようよ。」私なりにエールを送ってみました。でも、「もうムリです…、短い間でしたがお世話になりました。」とでも言わんばかりにヒョロッ子桔梗たちは次々に枯れていってしまいました。虫にやられたわけでなく、土も新しいものを使っていたし、日当たりも問題なかったのに何が悪かったのか考えても原因は分からないままでした。  

枯れた茎は取り除きましたが地中の根は、またあとで掘り起こして捨てるつもりでした。でも、寒さと怠慢も手伝ってなかなか根の掘り出しをしないうち季節は暖かくなり、そうこうするうちに(何もしないうちに)桔梗の根があっただろう付近からニョキニョキと芽がでて、わさわさ茂りはじめ、少しでも日光を多く浴びようと一斉にベランダの外へ茎を曲げだしたのは、紛れもない桔梗二世たちでした。  

 この時ばかりは面倒くさがってプランターの土を入れ替えたり、桔梗の根を掘り出して捨てなかった自分のズボラさと、桔梗が宿根とは知らなかった無知さをブラボーと称えました☆もし、桔梗はもう終わりだからと根まで掘り起こして廃棄にしていたら、二世たちの驚くほどの成長を見ることは絶対になかったでしょうから。二世たちはポコポコした可愛らしいツボミをたくさんつけ、一通り3種類の花色を楽しませてくれました。その花は母ちゃんにも供えることができました。

「私たちの親が花も咲かせないままで本当に不甲斐ないことでした、私たちは親の分まで見事に咲きますね!」というように2代目桔梗たちは初夏の頃から深まる秋になってなおも律儀に咲き続けてくれています。そして、いきなり冬が舞い降りてきたかのような寒い朝も、初めて花を咲かせるローズマリーに寄り添うかのような佇まいでした。

 

桔梗の花色というと、やはり紫色が有名です。お坊さんの着物や仏具にも紫色が用いられているのが多いからかもしれませんが、私は紫色には何となくではありますが慈悲深さも感じてしまいます。ちなみに紫は、赤と青を混ぜないと作れない色です。情熱的な赤、冷静の青、と色が持つ性質の真逆が含まれるように、色々な思い、現象、すべてを受け入れ、許し、穏やかに包み込むかのような安堵を紫色は含んでいるような気がするのです。最初から桔梗を育て、その花を母ちゃんに供える計画ではありませんでしたが、紫色の桔梗の花が少しでも母ちゃんの慰めや安らぎになってくれたら…と思いました。

「花とか花色とか関係ないよ、気持ちだけで充分だから。」ってあちらの世界で母ちゃんは言ってそうですけどね。  

☆余談………

●ローズマリーの(代表的な)花言葉●「変わらぬ愛、誠実、私を思って」   

●桔梗の花言葉●「変わらぬ愛、誠実、従順」

コメント

  1. 小鉄 より:

    お母ちゃんは、きっと、リンドウやらアザミの個別な花が好きなんじゃなくて、紫色のお花が好きだったんじゃないでしょうか?
    そう思えば、桔梗でもローズマリーでもキレイな紫色のキレイな花が咲いてくれたら、慈しみの心で愛でてくれたと思います。

    でも、桔梗もローズマリーも偶然にも、似たような花言葉だったって余談が・・・
    なんかステキ♪

    • コメント、ありがとうございます。
      そうですね。今回、初めて花言葉を調べてみたのですが、一つの花に複数の花言葉があったり、また、二種類の異なる花に共通の花言葉が二つもあったことに驚きました。 
      同じ花言葉が複数重なる事って、よくあることなのかどうかわかりませんが、今、咲いている花が二種類だけのプランターで、その二種類が似たような花言葉なのは、なかなかな偶然のような気がします。
      ともかくも桔梗もローズマリーも枯らさないようにこれからも大切に育てたいと思います。    
           

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