老婆心の本音

ふみの縁側茶話会

12月に入り本格的な寒さを感じるこの頃。

 

夜の9時過ぎ、仕事を終え自分の車に乗り込むと外の気温と同じくらい車内は寒々しく、慌ててエンジンをかけ暖房をつけるものの…帰宅には十数分。残念ながら車内が温まるまでに家に着いてしまうことも多々。

なお、近年は暖冬で、しかも発熱素材など暖かな衣類は豊富に出回っていて、私が子供だった昔より今の方が遥かに暖かな冬を過ごしているはずなのに、たった十数分、しかも外ではなく車の中にいるのに暖房をつけずにはいられないなんて私も軟弱になったなぁと、なかなか温風が出ないエアコンを前にしみじみ。

ちなみに、この時の私の服装は発熱素材の肌着着用、ニットの上着にマフラー、そして分厚いタイツの上に靴下を重ね履き、おまけは腰にへばり付いているカイロ。車を降り、このまま歩いて帰宅するとしても充分寒さをしのげる格好でした。      

そんなこんなで、あと5分もすれば家に着く頃、フロントガラスの向こうに超ミニスカートの若い女の子が歩いている姿が見えました。ちょっと前屈姿勢をとれば下着が見えてしまいそうなスカートの丈は、ファッションセンスやセクシーさがどうこうより、目に入るだけで私にはただ寒々しく映りました。なぜなら彼女はコートを羽織っているでなく、長いブーツも履いておらず、素足にも見える足は履いていたとしてもストッキング程度だと思いましたので。

それから間もなく、またショートパンツの女の子に出会います。前述した女の子と同じようにコートもブーツもタイツも身に着けていない格好で冬の夜を颯爽と歩いていました。さっきの女の子と違うのは、こちらの女の子はショートパンツだから前屈しても下着が見える心配がない、というぐらいでしょうか。

 

いずれにせよ、私が子供の頃は「女の子は体を冷やしたらよくない」と母によく言われたものでした。短い丈のスカートなど軽装で外出できるほど、私が子供時代を送った昭和の冬は寒さに容赦なかったので、私自身は軽装で出かけたこともなければ、出かけたいとすら思った事はないのですが、それでも母は念を押さずにはいられないようでした。やはり、「冷え」は万病の元であるという考えと、婦人病の原因になったり、のちのち結婚や出産に支障が出ては大変、という心配があってのことだったと思います。

ちなみに約60年前に実施された調査では平熱は36.89℃であったのに、近年では36.2℃と日本人の体温は昔と比べて下がっているそうです。体温の低下は免疫力の低下。ココロや身体の不調と「冷え」との結びつきはもとより、様々な病気を引き起こす要因とも言われています。

最新の情報や情報の詳細を今の様に早く簡単に入手できなかった昭和の時代においても、体温の低下や身体の冷えがなぜいけないのかという理由は、母ぐらいの年代なら(ちなみに母は昭和ひとケタ生まれです)身をもって知っていたことで、きっと家族や地域で互いに気を付けあっていたのでしょうね。

会社から帰宅までの十数分という短い間、ハンドルを握る私が一瞬釘付けとなったのは冬の夜にも関わらず太ももが露わな服装の女の子で、私は、母がよく言っていた言葉、「女の子は体を冷やしたらいけない」と思わず呟いてしまいました。彼女が視界にいる間、(誰もその服装を注意してくれないのかしら、風邪をひかなきゃいいのだけれど)などお節介な言葉が次々と頭に浮かんでしまいました。…こういうのを老婆心というのだろうなと思いながら。

一方で、寒さをいとわずお洒落を楽しむ女の子の可愛さと若さ、イマドキの子に多いモデルの様なスラリとした体型や手足の長さには、着ぶくれおばさんの私としては感嘆のみならず羨望があったのも事実です。

    

    

   

                                 

                     

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